どこにいっても、事故に遭わず、
走る楽しさに会えるクルマ社会を。

どこにいっても、
事故に遭わず、
走る楽しさに会える
クルマ社会を。

制御開発(四輪)

古城 聡子

四輪事業本部ものづくりセンター/電子制御開発統括部/先進安全技術開発部/アシスタントチーフエンジニア
※インタビュー内容は取材当時のものです。

大学ではロボット工学を専攻。その中でモノを動かす制御技術よりもセンシング技術に興味を持ち、大手メーカーへ就職してデジカメ・オートフォーカスの先進研究に従事。2005年、最先端車載カメラ技術による『レーンキープアシスト(車線維持支援)システム』などを積極的に市場投入していたHondaに魅かれて転職。現在は駐車を支援するパーキングアシストシステムや安全運転システム『Honda SENSING』の開発に従事している。

- 職種内容とやりがい -
安全・安心を叶える創造的技術領域。難局は“ワイガヤ”で超える。

- 職種内容とやりがい -

安全・安心を叶える
創造的技術領域。
難局は“ワイガヤ”で超える。

Hondaは『Safety for Everyone』をスローガンに、クルマやバイクに乗っている人だけでなく道を使うだれもが安全でいられる「事故に遇わない社会」の実現を目指して、安全技術の研究・開発に取り組んでいる。私は、クルマの自動運転を見据えた予防安全領域の制御技術開発部門に所属している。ハンドルが自動で回って駐車をサポートするパーキングアシストシステムの開発に軸足を置きながら、安全運転支援システム『Honda SENSING』も担当している。いずれの開発テーマも、人とクルマを最適につなぐ“ヒューマン・マシン・インターフース(HMI)”。路車間/車車間通信技術を用いて、安全・安心のために必要なガイド・警告の音声や表示を提供するインフォメーションシステムの研究開発である。いわゆる研究だけでなく、量産のためのコンセプトメイキングや仕様決定に携わっている。やみくもに情報を提供するという安易な発想は、Hondaはとらない。有益な情報だけを厳選して提供するシステムを具現化し、乗る人の快適性や楽しさを損なわぬインターフェースづくりに徹している。

パーキングアシストシステムは、すでにオデッセイなどに『スマートパーキングアシストシステム』として搭載されている。マルチビューカメラシステムが捉えた映像を使ってパーキングゾーンを検出し、白線を目印に駐車位置を合わせてボタンを押せば、パーキングが完了できるシステムだ。多様な最先端技術が結集される領域だが、現在はさらに先を行く次世代開発を推進している。自動ハンドルやナビ画面をはじめ様々な他システムと連動するシステムのため、難度が高く、量産にふさわしい仕様の最適解を見定められないことも少なくない。しかし、そのような難局にぶつかった時こそ、Hondaという会社は逞しさを発揮してくれる。私はその恩恵にあずかった。

「そうか、古城、悩んでいるか。それならアレを開くとするか!」。ある先輩に仕様の最適解を求めて相談するとそう言われた。アレとはHonda名物、“ワイガヤ”だ。先輩や同僚が集まって「古城の案をぜんぶ教えてくれ」「この案にはこんなネガ要素が考えられるな」「こっちの案はここにネガがあるかも」と、他人事ではない自分事として議論を尽くしてくれた。一回、二回、三回と開かれ、いろいろな視点が入って最適解に着地していく。そしてその議論ではどんな局面でも「お客様に最も有益な答えは何か?」という言葉が飛び交う。常に原点に立ち戻るこうしたワイガヤは、誰かが困っている時だけでなく、新製品を立ち上げる際のコンセプト“A00”を決める時にも現場レベルで開かれる。「この製品で実現すべき世界観は何だ?」「お客様に提供すべき価値は何だ?」。現場でまずそんな徹底議論をして、コンセプトや企画を上へあげていくのが定石だ。

- キャリアストーリー -
2度の育児休暇後も、希望どおりのキャリア形成。

- キャリアストーリー -

2度の育児休暇後も、
希望どおりのキャリア形成。

私は前職でデジタルカメラの研究をしていた。物体の3次元測距を主テーマとする研究は楽しかったが、研究成果をより量産に結び付けられる場所を求めて2005年にHondaへ転職した。当時はまさにカメラやセンサーによる画像処理技術によってクルマの歴史が変わろうとしていた時代。その中でも特にHondaは眩しく見えた。可視光カメラで高速道路の車線を認識して、その中央走行を支援する『レーンキープアシストシステム』などを果敢に市場投入していたからだ。挑戦の気風と、研究成果を確実にモノにしていく具現力を感じた。新製品の展示会に行って、さらにその確信を強めた。そのうえ私にはHondaへ就職した大学時代からの友人も多くいたのだった。誰もが「Hondaはいいぞ!」「やりたいことをやらせてくれる!」と口々に語る。もともと声が大きく自己主張の強い人ばかり。そんな彼らが、いっそう声高に、目を輝かせて力説していた。

入社して最初に従事したのは、3次元距離を計測するカメラの研究。約5年続けた後、1年間の育児休暇を取った。復帰後、パーキングアシストシステムの研究開発に従事した。そしてやがて2度目の育児休暇を取り、再復帰後、同じパーキングアシストシステムにおける音声や情報表示のHMI領域担当となった。2度の育児休暇後に、いずれも希望どおりの形で現場復帰できたことを嬉しく思う。育児優先を希望しても、休暇前と変わらない業務を希望しても、Hondaでは本人の意志が尊重される。望むキャリア形成が可能である。

現在の私は、パーキングアシストシステムだけでなく『Honda SENSING』のHMI機能進化に携わるキャリアも実現できている。『Honda SENSING』は北米・欧州でも市場投入されているが、今後さらにグローバル展開が進むだろう。それはハードルの高いチャレンジとなる。例えば交通環境が未整備の進展国の道路で、誤認識ゼロのセンシングを可能にするのはきわめて難しいこと。しかも、Hondaは完璧な安全性と同時に、“走る楽しさ”も大前提とした独創に挑んでいるのである。私は今、入社前の面接で「君はどんなクルマに乗りたい?」と聞かれたことを思い出す。「女性でも走ることが楽しめるオシャレなクーペ」と答えた。現在の私は、「乗せている子どもたちと会話を楽しみながら、120%安心して運転を委ねられるクルマ」という条件を付け加えたい。さらに、未来に向けてもうひとつ。自分の子どもが免許を取れる年齢に達するその時までに、安心して運転を委ねることができて・走る楽しさを謳歌できるモビリティを、当たり前の存在にしたいと思っている。

column

Hondaの安全運転・自動運転システムの制御技術開発(四輪)

パワートレインをはじめステア・ブレーキなど、クルマの電子制御に関する研究開発を横断的に進める部署。例えばエンジンやシャーシなどの各担当が席を並べているため、これまで以上に横連携が可能になり、量産への運用基盤の確立までを含めた研究開発が進化・深化している。安全運転支援システム『Honda SENSING』をはじめとする、自動運転を見据えた予防安全領域の研究開発ブロックもこの新体制の部署の中にある。●仕事詳細:センシング技術・通信技術等を利用した、四輪車の高度安全運転支援システム、自動走行システムの先行開発および量産開発にかかる制御技術開発業務。●海外現地法人へのデモンストレーションや海外研究機関との共同研究等の機会も豊富。