夢のモビリティを夢にまで見てつくる。
それが、Hondaだ。

夢のモビリティを
夢にまで見てつくる。
それが、Hondaだ。

電装設計開発(四輪)

箕輪 聡

モビリティサービス事業本部/コネクテッド事業統括部/コネクテッド開発部/課長
※インタビュー内容は取材当時のものです。

1996年、エレクトロニクス製品メーカーに入社。ポータブルオーディオプレーヤーのファームウェア実装に従事する中、ASIMO開発を見聞し、Hondaに夢と革新性を感じて2000年に転職。専門性をダイレクトに活かせるカーオーディオ開発を起点にコアを広げ、次世代軽スポーツコンセプトの車載電装領域のPL(プロジェクトリーダー)と、スマホと四輪の連携技術テーマのチーフエンジニアを兼務。

- 職種内容とやりがい -
領域を段階的に広げながら、自分にもHondaにも初となる挑戦の連鎖。

- 職種内容とやりがい -

領域を段階的に広げながら、
自分にもHondaにも
初となる挑戦の連鎖。

四輪の電装領域で、数々の研究開発に挑んできた。現在までの職務を概括すれば次のようになる。①後部座席で動画を楽しめるカーオーディオ“リアエンターテインメントシステム”の開発。②クルマの騒音をオーディオからの音で効果的に消す、“アクティブノイズコントロールシステム”の研究。③“手元操作&遠方表示”にこだわった、安全なドライビングのためのオーディオインターフェースの開発。操作部と表示部をセパレートして、両者を独自通信技術でつなぎ、複数車種ごとに開発。計7年。④手元操作&遠方表示の思想を、メーター分野まで広げた“i-MID”の研究開発。オーディオ表示と計器表示を、遠方視認できる一体型ディスプレイへ集約した。メーターの歴史も変えた、まさにカーディスプレイの革新。

その後、現在の職務へと至る。現在は2つの職務に就いている。そのうちの1つについては後述する。まずは、『Honda S660 CONCEPT』に搭載される電装システムの研究開発だ。Hondaの夢を凝縮した次世代軽スポーツコンセプト。その最高開発責任者であるLPL(ラージ・プロジェクトリーダー)と、各要素の開発責任者であるPLから成るチームが、2011年春に結成された。私は当初からこのチームに電装領域のPLとして参画。クルマ自体のコンセプト策定から関わった。「俺たちがつくりたいクルマって何だ?」「これだ!」「違う!」さっそくHondaの伝統、ワイガヤが開始。意識が高く、妥協と逃げを知らぬ個性同士が対峙する。議論が続くこと7ヵ月。主張と主張が交錯する中、ある日ある者がこう言った。「寝てたら夢に出てきたんだが、エンジンフードを2コブにするのってどうだ?」。すると「それ、いいぞ!」。夢が、夢のクルマへの視界をひらいた。たまげたね。

しかし、まだまだワイガヤは続いた。技術屋PLがそろって埼玉・和光市のデザイン部門へ。すでに練られていたデザインとコンセプトを突き合わせ、技術陣の意思を正面から伝える。誰もが前だけを向いていた。想いと情熱を注いでいた。市場データだけを盲信せず、全員でつくりたいクルマを語り合う。徐々に焦点が定まっていく。「Hondaってこうやってクルマをつくるのか。クルマってこうやってつくっていいのか」。私の熱量も、ぐんぐん上がる。このクルマに搭載されるオーディオパッケージは、これまでの私の全てを注いだ集大成になっている。

- キャリアストーリー -
クルマの概念を変え続ける。Hondaにいればできる。

- キャリアストーリー -

クルマの概念を変え続ける。
Hondaにいればできる。

私の前職は、ポータブルオーディオプレーヤーのマイコン制御や制御ICの開発。クルマ未経験で入社して、Hondaの流儀にも触れながら、自分の幅を広げてきた。リアエンターテインメントシステムの開発は、同じ年の技術屋から誘われて始まった。その時に知った。Hondaでは仕事が上司から下りてくるだけでなく、横のつながりで生まれるのだと。そして、この仕事で成果を出したら、別の先輩がアクティブノイズコントロールシステムの研究に引き込んでくれ、いつの間にか私がその仕事の掌握権を持つようになった。その時にまた知った。Hondaでは仕事を奪ってしまってもよいのだと。私はその仕事を通じて、クルマの騒音低減の研究を行っている仲間と合同で自動車技術会から賞をもらった。互いの専門領域を超えて人と人がつながっていく。そのつながりが、新たな価値を生み出していく。この体験がなければ、その後に関わった手元操作・遠方表示オーディオの開発とi-MIDの研究開発はちがうものになっていただろう。

i-MIDの研究開発は思い出深い。当初はi-MIDという定義も言葉もなかった。周囲からよく言われた。「これってオーディオなのか?」「メーターだろ?」「なんでオーディオグループのお前がいじってんだ?」。私は声高に主張した。「これはどっちでもない!」と。これは革新だ、未知なるものなんだ!1人だけ、共鳴しているやつがいた。メーターグループの和田。心からの相棒となった彼に、私は言った。「これはオーディオでもなくメーターでもないよな。ならばこれの担当者も、箕輪でもなく和田でもない。ミノワダだ!」。ふたりして高らかに笑った。

前段で後述すると言った、現在のもう1つの仕事について話そう。それはスマートフォン技術とインターナビを連携させたカーナビゲーションアプリと、そのアプリを組み込んだディスプレイオーディオの研究だ。プロジェクトリーダーを務めながら時間の流れの早い情報電装システムの研究開発をするのは無理だと反対の声もあったが、世の中は待ってくれない。「みんなに迷惑をかけると思うけど、新しい価値の創出を止めたくない。」と仲間に頼みこんだ末なんとか進めている兼務だ。今も迷惑をかけているけど、叱咤激励のある職場は背中を押してくれている。次なる新価値創出に向け今考えていることとして私はカーナビの概念を、変えたい。例えば“目的地”の案内ではなく、“目的”を満たしてくれるナビ。詳しくは公開しないが、事はナビだけの話ではない。私はクルマを、人が乗る道具から、乗ることで人の行動も変えるモビリティへ変えていきたい。概念が変わるんだから、“クルマ”じゃなくて“モビリティ”。それも、乗る人の生活を豊かにし、人に語りかけてくれるようなモビリティにしたい。そんな夢のモビリティを、私も夢にまで見るくらい、考え抜かなくては。

column

Hondaの四輪車載電装システム設計・研究開発

メーター・ナビゲーション・テレマティクスなどの情報電装システム、ライト・ワイパー・エントリー・空調などのボディ電装制御システムの設計・研究開発を行う。●仕事詳細:車載電装における新価値機能の提案/機能・操作・表示などの仕様策定および検証/システム設計およびソフトウェア開発 等 ※開発ツール:MATLAB、SIMULINK、HILS、SysML、CANoe 等 ●将来的には、新機種・新機能の電装部門のプロジェクトリーダーや、チーフエンジニアとしての活躍、海外駐在も可能。