信念は断固主張しあう。
Hondaの品質の高め方。

信念は断固主張しあう。
Hondaの品質の高め方。

品質技術

茂木 義紀

埼玉製作所/品質管理室/製品技術ブロック/指導員

1994年、大手印刷会社へ新卒入社。1996年、自動車部品サプライヤーへ転職し、ショックアブソーバーの開発を中心に耐久性テスト業務などにも従事。2007年、「どこよりも品質にウルサそう」と感じたHondaへの好奇心と、「ショックアブソーバーのことなら誰にも負けない」という自負を秘めて埼玉製作所へ。四輪完成車のシャーシ(足廻り)領域における品質技術職に就く。

- 職種内容とやりがい -
ガチンコ勝負あり。開発工程への越境あり。海外駐在のチャンスあり。

- 職種内容とやりがい -

ガチンコ勝負あり。
開発工程への越境あり。
海外駐在のチャンスあり。

入社して5年。四輪完成車のシャーシ領域で品質技術職に従事し続けてきた。仕事内容を概略すれば次のようになる。本田技術研究所が決めた新機種の仕様に対して、量産観点から図面を検証すると共にテストデータを解析。少しでも疑問を感じれば、フィードバックして共に品質熟成に努める。製造工程で量産不具合があれば、仕様対策を推進する。出荷後に市場不具合があれば、すぐさま原因解析にあたり、研究所・現場・部品サプライヤーにも共有して設計変更も視野に入れた技術判断をする。

研究所とがっぷりよつに組んで品質熟成をめざすこと。これは第一に強調すべき特色だろう。研究所は自信をもって仕様を決める。要件テストも行う。その上で私たちに図面を届けてくる。けれども開発観点と量産観点では、考え方の基準に違いがあっても当然だ。そうなればとことん討論ならぬ闘論をする。共に見つめている最終ゴールは同じ。<最高のクルマをお客さまの元へ>。お互いがその一点のために考え抜いている。それぞれの信念を胸に。信念の主張を怠らない技術屋としての誠実さを胸に。だからこそ、時にガチンコ勝負になる。ステップワゴンの改良時には、走行異音の極小化をめぐって「お客様に不具合商品は渡さない」「根本解決を実施する」との強い思いで妥協することなく約1年間もやりあった。北米向け新型アコードを出す時も、足廻りボルトの軸力を論点に衝突した。Hondaのクルマの品質は、このような切磋琢磨を経て磨かれる。そして量産出荷後にお客さまやジャーナリストから高評価を得た時。研究所と私たちは祝福しあう。より強くなった絆を感じながら。「とことんやりあってよかったな」と。

新しい動きも、加速している。いわゆるフロントローディング。研究所が新機種の仕様を決める前の上流工程に私たちが踏み込み、品質を早期から熟成させてゆく取り組みだ。研究所側もこれを歓迎してくれている。一般に、新機種開発は研究開発部門の専権と考えられているだろう。Hondaでは違う。「現場で実際にどうつくるか」を熟知した部門も出動する。最高のクルマを生むためなら、既存の境界線は越境する。周りに首を突っ込み、周りを巻き込むのだ。そしてさらにもう1つ、付言しておきたいことがある。Hondaの品質技術屋は、海外駐在の可能性も開かれている。私が在籍するシャーシ領域では約20人が働いているが、このチームから5年間で6人が飛び立っていった。ちなみに海外駐在では、現地スタッフをマネジメントしながらプロジェクトリーダーとして、クルマ全体の品質を管理するというケースが主流である。

- キャリアストーリー -
Hondaの、人の育て方。「お前はどう思うんだ?」

- キャリアストーリー -

Hondaの、人の育て方。
「お前はどう思うんだ?」

私は以前、自動車部品サプライヤーでショックアブソーバーを開発していた。Hondaを志した理由は、将来的に1台のクルマ全部に関われる可能性が開かれていること。それと、とことん品質改善にこだわっていると日頃から感じていたことだ。例えば静音仕様変更の際、Hondaはクルマの全体構造で吸音させるのでなく、部品1つ1つまで調べ上げて走行異音の“源を断つ”という根本解決を実践していた。その真っ直ぐな姿勢に私は惚れた。そして思った。Hondaの現場で品質技術に触れてみたいと。

入社後まもなく、私は大失態をやらかしたことがある。他の製作所から移管された改良モデルの生産を進めた時。ボルトの締め付けトルクの仕様を正しく理解していなかった。そしてそのまま製造して改良モデルの発表イベントを迎え、走行異音が出る不具合を起こしてしまったのだ。市場に出る前の不具合とはいえリカバリーに1ヵ月を費やした。ところがこの失敗体験は、私の大きな成長機会になった。「こう解決せよ」という上司や先輩はいなかった。常に「お前はどう思うんだ?」と聞かれた。これにより“自ら考えて・判断して・行動するチカラ”が鍛えられたのだ。私はHondaの人の育て方を知った。

現在の私には2つの目標がある。1つは海外駐在だ。マネジメントも経験したいし、クルマをトータルに見る立場に就くことは私の元来の願いである。また、国が変われば気候条件や路面条件が変わる。従って日本にはない不具合を知ることもできる。品質技術屋としても計り知れない収穫があるだろう。もう1つの目標は、研究所へ移って新機種を開発してみることだ。製作所から研究所へ、あるいは研究所から製作所へという転身はHondaでは珍しくない。では、研究所でどんなクルマを開発したいのか。これも実は2つある。完全無音でノンストレスなクルマ。それとガッチガッチにスポーティーなレスポンス抜群のクルマ。言わば“究極のクルマ”を生み出してみたい。もちろん、一点の曇りもない品質を熟成させて。

column

Hondaの品質技術(四輪完成車)

埼玉製作所にて完成車量産のための品質見極めと評価を行い、製造現場はもちろん本田技術研究所とも連携して品質熟成を展開し、量産出荷保証を構築する。新機種・新機能開発時の図面検証とテストデータ解析、量産不具合・市場不具合の仕様対策推進、設計変更に関する技術判断など。●仕事詳細:新機種の足廻り・乗り心地などに関する仕様熟成・テスト/制御システム・ワイヤリングの検証/測定設備の導入検討・維持管理/海外生産拠点に対する支援/海外長期出張 ●将来的には海外駐在や、新機種・新機能の生産部門のプロジェクトリーダーとして活躍が可能。