「A00」を追い求めて再びHondaへ。一番に挑戦するHondaイズムで世の中に貢献

子どもの頃からの夢をかなえ、新卒でHondaに入社した本橋。約20年勤めた後に外資系企業に転職し、開発体制の立て直しやマネジメントを経験します。「もう戻ることはないと思っていた」というHondaに再び入社したのは2023年。再入社という選択をした本橋の想い、残りの会社員人生で成し遂げたい使命を聞きました。

プロフィール

本橋 剛 Go Motohashi
コーポレート戦略本部 コーポレート事業開発統括部 リソースサーキュレーション企画部

1998年に新卒でHondaに入社。本田技術研究所でガソリン車やディーゼル車の排ガス削減に向けた触媒研究に従事。その後、ハイブリッド車のバッテリーの開発責任者を務める。その経験から、モノづくりの知見を得たいと考え2019年に退職。排ガスを浄化する触媒システムの製造を行う企業に入社し、開発体制の立て直しを行う。2023年Hondaに再入社。バッテリーをリサイクルするためのバリューチェーンの構築を担当している。

子どもの頃からの夢をかなえ、Hondaに入社

本橋さんは1998年に入社しています。入社のきっかけを教えてください。

「Hondaに入りたい」という夢を抱いたのは、小学5年生の時です。きっかけは、父が持っていた本田 宗一郎の本を読んだこと。

父は設計に使うドラフター(製図機器)の営業職をしていて、取引先のひとつがHondaでした。小さい頃からクルマが好きだった私は、その本を読んだ時、直感的に「こういう会社でクルマを作れたら楽しそうだな」と思ったのです。

それ以来、好きではなかった勉強を頑張り、学生時代は応用化学を専攻。就職活動でHondaの選考にチャレンジしたものの、当時は会社の状況が厳しく採用人数が絞られていたこともあり、不採用に。でも、諦められませんでした。

そこで、急きょ大学院に進学。2年後に再度チャレンジして、Hondaに入社することができました。

約20年Hondaで働くなかで、どのような仕事を担当していましたか? また、当時の悩みや心境の変化を教えてください。

はじめは四輪の研究開発を行う部署に配属され、触媒の将来研究に携わりました。私が入社した頃は、排ガス規制が強化されている時期。ガソリン車の排ガスをできる限りゼロにしていくための触媒研究や、ディーゼル車の排ガス浄化のための触媒研究に10年ほど携わりました。

ただ、長い間将来研究をしていると、「自分が手がけたものはいつ世の中に出るのだろう」と不安を感じることもありました。

その不安の解消につながった大きな経験は、バッテリー開発を行う部署に異動して担当した量産化に向けたプロジェクトです。実際に量産化するところまで管理職として携わることができたことに達成感がありました。

胸を張って精一杯やったと言えるか──足りない経験を得るためHondaを離れる

2019年にHondaを退職します。大きな決断だったと思いますが、転職の理由を教えてください。

じつは、入社してしばらくは、Hondaに入るという夢をかなえられた満足感で、「自分はHondaで何がしたいのか」という答えを出せていませんでした。30代半ばでたどりついた答えは、「定年退職を迎えた時に、精一杯やったと思いたい」ということ。量産化を実現できたことで、その想いをひとつかなえられた気がしたのです。

しかし、その後担当したバッテリーの将来戦略では、3年ほどかけて自分たちなりに一生懸命考えた提案が実現せず、再び「自分が手がけたものが世の中に出ないことへの不安」を感じるようになってしまいました。

当時、私は40代半ば。あらためてキャリアを見つめた時に、自分にはモノづくりの経験が足りないと感じ、一度モノづくりにしっかり携わるべきだと考えたのです。

それまで、Hondaを退職するなど考えたことがありませんでした。でも、私の目標は「胸を張って精一杯やったと言えること」。それならば、Hondaを出るという選択肢もあるのではないかと転職を決意しました。

転職先では、どのような仕事を担当していましたか? Hondaでの経験が活かせたことも教えてください。

排ガス浄化の触媒システムを製造する企業で、人材のマネジメントも含めた開発体制の立て直しを手がけました。モノづくりの現場も近くにあるなかで、時には製造現場とけんかのような議論をしながら仕事をしたことは貴重な経験です。

理想像だけを追いかけても、どこかで現実とのバランスをとらないと戦略は具現化しません。開発側と製造側のギャップを埋めながら仕事を進める上で役立ったのは、Hondaの「A00」(エーゼロゼロ ※)という考え方。迷った時に立ち返る判断基準を指す言葉です。A00を意識しながらモノづくりを経験できたことで、自分の幅が広がった気がします。

※ Hondaではプロジェクトのはじめに「これは、どんな世界を実現するための仕事なのか」を議論します。それが「A00」であり、迷ったときや意見がぶつかったときに立ち返って判断基準とすべき指針・コンセプトとも言えるものです。

残りの10年をかけてやるべきことがある。使命を胸に再度Hondaへ

その後、2023年に再びHondaに入社します。どのような想いがあったのでしょうか。

開発体制の立て直しも進み、会社に求められたことにはある程度応えられましたし、後継者にポジションを譲るタイミングも見えてきました。

そこで再び「自分は何をしたいのか」と考えた時に、バッテリー戦略に携わっていた際にやり残したことに挑戦したいという想いが膨らんできたのです。それが、現在担当しているバッテリーをリサイクルするためのバリューチェーンの構築です。

将来、大量のBEV(バッテリー電気自動車)が作られるとなると、原料も大量に必要ですし、適切な廃棄処理も必要です。BEVを恒久的なビジネスとして維持していくためには、資源調達においてリサイクルが重要になるのではないかと考えていました。

そんな折、Honda時代の先輩から再入社制度があることを教えてもらったのです。会社員人生の最後の10年をかけてリサイクル領域に取り組もうと決意し、再入社を決めました。

再入社にあたって、不安はありませんでしたか?

ありました。「もう戻ることはない」と思っていましたし、Hondaでは挫折や苦労も大いに味わっていましたから。また大変な思いをするかもしれないとも考えました。

でも、Hondaを嫌いになって退職したわけではない。再び役割を与えてもらえて、うれしくないわけがありません。やっぱり、Hondaが好きなんですよね。

いずれ淘汰されてもいい。一番に挑戦して世の中に貢献することがHondaらしさ

再入社して感じるHondaの変わらない魅力を教えてください。

やはり「A00」という考え方が魅力ですね。「自分は何がしたいのか」をとことん問うことで、ぼんやりしていた輪郭がはっきりしてくる。そして、それをやりきるという姿勢は、Hondaの一番の持ち味であり、技術力や精神の源泉なのではないかと感じます。

私が今取り組むバッテリーのリサイクルは、世の中にとって必要なことですが、今までにないチャレンジです。

そのなかで、何がHondaらしいのかと言えば、「ひとつの解として、どんな形でもいいから一番に挑戦すること」。もしかしたら、いずれ他社に真似をされてHondaは淘汰されるかもしれない。でも、それでいいんです。

議論するだけではなく、その時に一番良いと思える形で世の中に出して貢献できることを証明する。それがHondaらしさであり、私が最後にやるべきことだと思っています。

最後に、再入社を検討している人へアドバイスをお願いします。

「自分は何がしたいのか」をとことん考えることで答えが出てくるはずです。自分に問い続けるという姿勢は、Hondaで得た財産です。その結果、Hondaに戻らないという選択肢もあるでしょう。でも、そうやって出た答えが正解です。とことん考えて、後悔のないように選択してください。

※ 記載内容は2025年3月時点のものです

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